第5章 新世界の航海
『いやいやいやいや!
私重いし!そんな、、、手首折れちゃう!』
「はぁ?菜々美乗せるくらいで折れるわけないじゃん。」
『だって!ハルタ兄さん私より少し身長高いだけであんまり変わらないし…』
「え?何?菜々美もしかして喧嘩売ってる?
明日死ぬ寸前まで走らされたいの?」
あ、やば、、、
ハルタ兄さんの前で身長の話はタブーだった…
「ま、そういうことだ。
ほら菜々美、乗せるぞ?」
ジタバタと足掻いても全く動じる様子のなかったビスタ兄さんが私の足をハルタ兄さんの手のひらの上に乗せた。
ハルタ兄さんは私の足をしっかり掴みちゃんと私の体重を支える。
『うわっ!!ちょ、ビスタ兄さん!手離さないで!!』
「ハハッ、とんだへっぴり腰だな。」
『だってこんな…』
カクカクと震える足。
しがみついて話せないビスタ兄さんの手。
こんなの無理だよ…
「これで真っ直ぐ立てないようじゃアレはもっと無理だね。」
『…こんなのできる人いるの………?』
「そりゃ、この船に乗ってる奴らなら大抵はできる。
ビスタ、ちょっと僕乗せてよ。」
「ん、いいぞ。」
ハルタ兄さんは私を下ろして、ビスタ兄さんの手のひらの上に乗った。
…普通に立ってる。
「ね?」
『…』
「ハハハッ、何事も練習だ!
まぁ、菜々美は身体の使い方は上手いから、必要な筋力さえつけば上達は早いだろう。
頑張れよ!」
『…うん。』
その日から私の運動メニューに体幹トレーニングが追加された。
楽になれると思ったのに逆にきつくなった
…解せぬ、、、