第5章 新世界の航海
「…色々聞きたいことはあるが……ひとまず、大丈夫か?」
『ビスタ兄さん………』
ドタドタドタバタ!
「「菜々美!!」」
偶々通りかかったであろう、ビスタ兄さんが私をしっかりと受け止めてくれた。
本当にびっくりした。
「で、なんで菜々美が飛んできたんだ???」
『あぁ、それは………』
「な!菜々美、その靴…」
『うん。どうせなら履いていこうと思ったら急に、、、』
ハルタ兄さんは私の靴を指差して言う。
ビスタ兄さんも納得したようにそれを見て、苦笑いを浮かべた。
「…言ったじゃん僕。
練習しないと難しいよって。」
『うん。
…こんなに凄い勢いだとは思わなくて。』
「ブレスダイアルが強力だったってのもあるが、、、菜々美は軽いからねぃ。」
私はその靴を脱いで、そのままビスタ兄さんに抱かれたまま甲板へ戻ってきた。
マルコ兄さんが風の強さを調節してくれている間、ハルタ兄さんから基本的なことを教わる。
「いい?さっきちょっとやってみて分かったと思うけど、あの靴で走るにはいつもとは違う場所の筋肉を使うんだ。
だから難しいし、すぐにはできるようにならない。
コツさえ掴めばいいんだけど、、、」
「…まずは体幹がそれなりに備わってないとな。
足元が不安定な状態でも身体を真っ直ぐに保つ必要がある。
そうすることで体重移動が容易になり、あの靴の真価を発揮することができる。」
『…なるほど、、、』
できるかな…
「…まぁ、まずは、、、
よし、菜々美、僕の手の上に乗って?」
『手…』
「ビスタ、ちょっと手伝って。」
「あぁ。」
ハルタ兄さんは自分の耳の横くらいで両手を上に向けて広げている。
ビスタ兄さんは抱いていた私をひょいと持ち上げた。
え?手の上って、、もしかしてハルタ兄さんの手のひらの上!?