第5章 新世界の航海
俺は最後のページをめくり終え、息を吐く。
こんなにひっそりと隠してあった手記。
宝の地図やワンピースのような類の冒険要素を期待していた。
それに、結局これを読んで分かることなんざほとんどない。
クローバー博士のものだが、最終的には彼も全てが分からずじまいだったわけだ。
「…拍子抜けだねぃ、」
確かに歴史には多少興味はあるが、生憎政府の闇には興味がない。
それを知りたがっているのは革命軍だろう。
歴史書かと思えば、謎しかない、そもそも存在するかも怪しい男の物語。
そして政府の闇。
俺は大切に引き出しにしまっていたその本を、普通の本棚の方へと移した。
もう既に頭の中は甲板でへばっているであろう菜々美のことでいっぱいだ。