第5章 新世界の航海
【彼の情報はほとんど全て政府によって抹消されている。
どこから来たのか。
歳はいくつなのか。
何を政府にもたらし、何故消されたのか。
分かることはふたつ。
彼が男であったこと。
そして、Dr.ベガパンクと深く関わっていたということだ。】
「Dr.ベガパンク…」
海軍の科学班のトップ。
紛れもない世界一の科学者の名だ。
【私が彼について調べ始めたのは、偶々だった。
私たちオハラは考古学を学ぶため、政府の目を掻い潜る必要がある。
そのために政府の様子を逐一観察し続けていた。
そしてある日。
1人の男が海軍及び政府によって保護された。
さらにその男は海軍本部でしばらく滞在していたという。
我々は違和感を覚えた。
一般人を保護して、何故海軍に止める必要があるのか。
私たちはこの時、オハラ以外の学者が捕まったのではないかと予想した。
しかし、その後は殺されることなく、その後Dr.ベガパンクの所属する科学班へと送られたそうだ。
この時、我々と同業者である線は潰えた。
歴史学者ならば、即刻処刑。科学班とは無縁だからだ。
だが、保護しただけの男を科学班の元へ送るなど、異例中の異例。
深く追求すればするほど、痕跡を残してしまう。
後ろ髪引かれる思いを抱きながらも、調査は中止した。
結局、何が行われているのか、我々には到底わからなかった。
その一年後、その男は聖地、マリージョアで死んだ。
何故死んだのかもわからなかった。
その情報を得た私たちは、政府に消されたのだと直感した。
考古学、いや、古代兵器や空白の100年以外のことで彼は消された。
政府にはまだ秘密がある。
考古学以外の視点から、知られたくないこと、又は知らせたくないことがある。
その後、少し探りを入れようとしても、その男の情報は全く手に入らなかった。
だが、それからしばらく政府は誰かを、何かを探していた。
しかし、それも時が経つにつれ収まり、政府は何事もなかったかのように、その男がいた証拠を全て消し去った。
私はこの少ない情報から仮説を立て、この書を見るものに忠告しておくことにする。】