第5章 新世界の航海
「…」
どうにかしてマルコと菜々美を引き剥がそうと思案していると、丁度いいところにジョズが来た。
「オイ!菜々美!ジョズが来たぞ。」
『!ジョズ兄さん!!
マルコ兄さんありがとう。また今度ね!』
「…よい。」
菜々美がジョズめがけて走っていくのを見届けると、能力を解いて顔を手で覆い隠してしゃがみ込んでいるマルコ。
俺はマルコに近づいて話しかけた。
「マルコ…覚悟はできてるな?」
「…俺は無実だ。」
マルコは赤くなった目元をこちらに向ける。
「何が無実だ!
俺のかわいいかわいい菜々美に抱きつかれやがって。
鳥ってのは役得だなぁ!オイ!!」
「俺のせいじゃねぇだろうよい!!それに、菜々美はお前のじゃねぇよい!」
「うるせぇ!!!満更でもなかったくせに!」
「な!?」
「顔真っ赤にして実は喜んでたくせに!!
この変態兄貴!!」
「お前…いい加減にしろよい!!」
「黙れ!俺だって菜々美に抱きつかれてみたいんだ!!」
「お前の方が変態だろうがよい!!」
「やかましい!…今日の晩飯は焼き鳥だ!!!」
「はぁ!?ちょ、それ包丁…」
「覚悟しろマルコォォォ!」
俺は全てのやりきれない怒りをマルコにぶつけて走り回った。
…俺だって…俺だって菜々美はじめとする女の子たちからぎゅーってされてみたい…
モテる男はみんな俺の敵だ!!!(泣)
『…マルコ兄さんとサッチ兄さん、なんで鬼ごっこしてるのかな?』
「…さぁな。
ほら、菜々美みてろよ…っと」
『わぁ!ジョズ兄さんすごい!硬いダイヤモンドも自由自在なのね!!』
「あぁ。コレもキラキラの実の能力だ。
じゃあ、今作った鳥のダイヤは菜々美にやろう。」
『やった!ありがとう。お部屋に飾るね!』
「あぁ。」
『あ、マルコ兄さん空ににげた。』
「…マルコの勝ちだな。」
『そうだね。』