第5章 新世界の航海
コンコンコン
「マルコ〜俺ー」
ガチャ
「返事する前に開けたら意味ねぇだろう。」
「いいじゃねぇか。細けぇこと気にすんな。」
「…ったく、、、で、サッチ、なんのようだよい。」
菜々美の部屋から帰ってそのまま書類仕事を片付けていた。
時計はもうすぐ11時を指そうとしている。
「なぁ、菜々美知らね?
今日朝飯来なかったんだよ。部屋ノックしても返事ないから寝てんのか?
寝坊にしても、そろそろ起きていいころだし、、、朝飯来なかったことなんか初めてだから心配でよ。」
「…あー、、、」
そういえば菜々美のやつ、朝飯も食べずにそのまま寝ちまったな。
「菜々美は寝てるよい。
なんか体調良くないんだと。」
「大丈夫なのか?」
「あぁ。ちと風邪気味なだけだ。
食えるようになったら取りに行く。そん時は粥でも作ってくれ。」
「わかった。」
サッチはそう言って厨房に戻る。
昼になっても出てこなかったらまた様子見に行くかねぃ。
ー
ーー
ーーー
ーー
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「…腹減ったな。」
時計を見ると昼過ぎ。
野郎共とは違う、菜々美の小さな気配は2つ隣の部屋から動いていない。
一度様子を見に行くか。
コンコンコン
「菜々美、大丈夫か?」
『…うん。』
「入るぞ。」
ガチャ
さっきと同じように盛り上がった布団。
起きてはいるようだ。
「…今朝は気が利かなくて悪かったな。」
『ううん。
これ、ありがとう。』
いつもの溌剌とした返事ではなく、弱々しい声と共に差し出されたのは温くなった湯たんぽ。
机の上に残したメモは見たようだ。
「…腹減ったろ。
呼んだらすぐ持っていってやったのに。」
机の上には、なんかあればすぐに掛けていい、と書いたメモと菜々美専用電伝虫(でんでん)。
『…いらない。』
「?」
『…お腹は空くけど、それ以上に動きたくないの。』
起き上がるのもめんどくさいと言い、また丸くなる菜々美。
…そういうものなのだろうか?