第5章 新世界の航海
「…あぁ。なるほど。」
ふわりとした浮遊感。
ぐらぐらと揺れる視界の中、鼻腔を駆ける香の香り。
「マルコ、菜々美は大丈夫だ。
部屋に連れていく。」
「イゾウ!医務室に連れてけよい!俺が診る!」
「やめとけ。これはお前にゃ治せない。」
「な!」
「さ、部屋行こうな、菜々美。」
もう頷くのもめんどくさくてそのままイゾウ兄さんに身を預けた。
「…辛いな、菜々美。
ほら、部屋ついた。横になるだろう?」
『うん…ありがと。』
「どうってことないさ。」
イゾウ兄さんに横抱きされて部屋に入ると兄さんは私を優しくベッドの上に下ろし、布団を掛けてくれた。
「薬は?」
『飲んだ。』
「そうか。…マルコにはそれとなく言っておくよ。
アイツのことだ、放っておくと何がなんでもお前を診ようとするただろうからな。」
『うん、お願い。』
「あぁ。…ゆっくりおやすみ。」
私はギュッと丸くなってそのまま眠った。
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さて、マルコは…医務室か。
覇気で場所を特定してそこへ向かう。
扉の外からでも苛立っているのが伝わってくる。
ガチャ
「イゾウ!俺に治せないってどういうことだよい!」
案の定、医学書を散らかして取り乱す長男。
男所帯で頭にないのはわかるが、、、仮にもコイツ医者だろう。
「ハァ、、、マルコ、菜々美は女だぞ?」
「んなこと知ってるよい!」
「…医者のお前なら知ってるだろう。
女に月に一度訪れる症状。」
「………!!!」
思い当たったか。
今までにないほど目を見開き、顔を手で覆うマルコ。
先程の自分の行動を反省しているようだ。