第5章 新世界の航海
「ちょ、おい!どうした!?
大丈夫かよい!」
マルコ兄さんだ。
兄とは言え、いや、兄だからこそか。
こういうことは言いたくない。
『なんでもない。』
「なんでもないわけあるかよい!
医務室連れてってやる。立てるか?」
『や、大丈夫。』
「大丈夫じゃねぇだろぃ!そんな真っ白な顔して何が大丈夫だ!」
『いいから!』
あぁもう。
いいって言ってるのに、
大きい声出したからまたお腹に響いてまた痛む。
『っ、、、』
「菜々美!どこが痛い?」
『…』
「菜々美!」
心配してくれてるのはわかってる。
優しさからくる行動だって分かってはいる。
完全に八つ当たりなのは分かっているけど、もう放っておいてほしいし、早くどこかに行ってほしい。
膨れ上がる最低な苛々にまた自分が嫌になる。
「何騒いでる、マルコ。……と、菜々美??」
「イゾウ!」
あぁ、また増えた。
『ゔっ、、、』
っ、痛い。
これは一刻も早く横になって眠りたい。
なんとかこの2人を早急に撒かないと。
私はまだ波の中で痛むお腹を無視して、大丈夫であることをアピールしようと、勢いよく立ち上がった。
『っ!』
ぐにゃりと視界が歪み、平衡感覚がおかしい。
勢いよく立ったのがやっぱり不味かったか、お腹は引き攣るように痛むし、気持ち悪い。
「っと、」
「菜々美!お前、本当にどうしたよい!」
イゾウ兄さんの方へ倒れ込み、彼の逞しい腕に支えられる。
あぁ。早く横になりたい。