第5章 新世界の航海
ダンダンダン!!!
「オヤジィ!菜々美いる!?」
「あぁ。ハルタか。入れ!」
ガチャ
「あぁ!やっと見つけた!!菜々美来て!!」
『え?』
「ほら早く!!」
『わ、えぇ!』
「グララララ、転ぶなよ」
父さんの忠告を背中で聞きながら、ハルタ兄さんに手を引かれるまま廊下を走る。
『ハルタ兄さん!どうしたの、、、』
「いいからいいから!早く!!」
雨の中作業していたであろうハルタ兄さんの体は濡れていて、服の色は濃くなっている。
早く着替えないと風邪ひいちゃう。
ーバン!
「菜々美いた!まだ消えてない!?」
「オォ!よくやったハルタ!!まだ大丈夫だ!!」
「よかった。ほら菜々美、見て!!」
『え、、、わあっ!!!』
甲板へ出て、みんなの指差す方を見ると、そこには七色に輝く丸い虹が空を彩っていた。
『すごい!丸い虹なんて初めて見た!!!』
「でしょ?丸虹っていって、グランドラインでも珍しいんだよ。」
『綺麗…』
嵐は怖かったけど、あの後にこんなに綺麗なものが見れるなんて、、、
私はみんなと一緒に丸虹が消えるまでずっとそれを見上げ続けた。
無意識にキュッと握った繋いだままのハルタ兄さんの手はとても暖かかった。