第4章 初上陸
それからマルコ兄さんは薬屋さんや医療器具の売っているお店を回って行った。
それらを見ているマルコ兄さんの目は声もかけづらいほど真剣で、いつもの優しい兄さんの目ではなく、お医者さんの目をしていた。
父さんの命はじめ、船員の命を救う船医としてのマルコ兄さんはとってもかっこよくて、私は邪魔にならないようにお店の中をくるくる見て回った。
専門的なことは分からないけど、見たことがない葉っぱとか、すごく小さな金具?とかは見てて面白い。
「よし、これで一応一通りは揃った。
悪かったねぃ。暇だったろう?」
『ううん。全然。』
「そうかよい。…昼飯食いに行くか。」
『うん!』
マルコ兄さんはお洒落なカフェに連れて行ってくれて、パスタを食べた。
私はカルボナーラを食べて、マルコ兄さんはペペロンチーノを食べていた。
美味しかったけど、サッチ兄さんのご飯の方が好きだな…
それからマルコ兄さんはデザートのケーキまでご馳走してくれて、お腹いっぱいになってお店を出た。
『マルコ兄さん、ごちそうさま。』
「あぁ。…菜々美、本屋行ってもいいかよい?」
『うん!』
私はマルコ兄さんと一緒に少し古びた本屋さんに入った。
本屋さんの中では自由に動いていいと言われて、私は物語の棚を眺めていた。
はじめはマルコ兄さんについて行ったんだけど、難しい本ばかりで少し開いても全くわからなかった。
マルコ兄さんのいたコーナーは歴史書が並んでいたところだった。
物語コーナーに行くと私でも読めるような優しい文章。
マルコ兄さんみたいに医学書とか歴史書を読めるようになるにはもっと勉強しないとな、、、
何やら向こうで兄さんが店主のお爺さんと話しているのを横目で見ながら、私は物語の中に没頭していた。