第4章 初上陸
「ん、菜々美おはよう。」
『おはよう!イゾウ兄さん!』
「体調は大丈夫なのか?」
『うん!元気だよ!』
「それはよかった。」
イゾウ兄さんは笑って私の頭をくしゃりと撫でる。
サッチ兄さんと違って、髪型に気を遣ってくれるところが大人だ。
「今日も島へ行くのか?」
『うーん、欲しいものとかはないんだけど、マルコ兄さんがいいって言ったらちょっとぶらぶらしたいな。』
「そうか。たしかに、魚人島に行くなら次の航海はちと長いからな。
明日の朝にはここを出る。存分に陸を堪能しておけよ。」
『うん!』
それからしばらくイゾウ兄さんと話していると、支度を終えたマルコ兄さんが来た。
「お、マルコ。菜々美が島へ行きたいって言うんだが、俺が連れて行こうか?」
「…いや、今日は俺と回ろう。」
「…そうか。それじゃ俺はハルタとでも行くかね。」
マルコ兄さんとイゾウ兄さんは無言で視線を少しの間交わして、マルコ兄さんは私に手を差し出した。
「それじゃ、行くかよい。」
『うん!』
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(昨日の今日だ。1日は俺が見るよい。)
(あぁ、それがいいな。頼むよ。)
(言われなくても。)
(そうか。っククッ)
大人な兄と医者の兄の話