第4章 初上陸
『おはよう!サッチ兄さん!』
「おう!おはよう。
昨日は大変だったなぁ。」
『ゔ、、、覚えてないの。何もしてなきゃいいけど…』
「その心配はねぇよ。
酒飲んで速攻寝たらしいからな。」
『そっか。あーお腹すいた!』
「ほら、朝飯。そこ空いてるからそこで食っちまえ。」
『はーい。』
…なんか今日のサッチ兄さん変なの。
どこがって言われたら分からないけど、なんか変。
ま、いっか。
私は和食だった朝ごはんを食べて、甲板に出た。
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ティーチの様子が気になって、思わず座席指定までして目の届くところで飯を食わせた。
ティーチは菜々美の方に一度目を向けただけで、自分の分の飯を食い終わるとさっさと出て行った。
俺はほっとして、何年ぶりだろうか。
手元が狂って手を切った。
ぞわりとする感覚はやはり、何度切っても慣れない。
いつも通りじゃねぇのは俺の方、か。
ティーチに限ってそんなこと、あるわけない。
きっと俺が昨日の菜々美を見て気が動転してるだけだ。
ただ、それだけだ。
俺は滴り落ちる暗赤色のそれを眺め、自嘲気味に笑った。