第4章 初上陸
「わかった。今食堂にいる奴らには俺が言っておく。」
【頼んだよい。サッチ。】
マルコからの電伝虫を切ると、俺は一旦手を止め、厨房の奴らも食堂にいる奴らも一度集めた。
「お前ら!菜々美の目が覚めた!」
「「「おぉ!」」」
よかった。
もう目が覚めなかったらどうしようかと思った。
ヒヤヒヤした。
そんな声が周りからは聞こえる。
「目が覚めたのは本当に喜ばしいことだが、それだけじゃねぇ!!
お前ら耳ん中かっぽじってよく聞けよ!」
俺が声をあげると全員黙る。
「菜々美は俺たちのこともちゃんと覚えてる。
だが、昨日、俺たちが飲み比べをした後からの記憶が完全に抜け落ちてしまったらしい。
そこでだ。」
俺はその場にいた全員の顔を見ながら一番大切なところを言う。
「オヤジが菜々美に、菜々美は間違えて酒を飲んでそのまま寝ちまったって説明したそうだ。
俺たちもそれに準じて、菜々美にそんな風に接しろ!
間違えても記憶に触れて頭痛を起こしたなんて言うんじゃねぇぞ!!
わかったな!!!」
「「「おぉ!!!!」」」
よし、大半は馬鹿ばっかりだからこれでいい。
ただ起きるかも分からなかった菜々美の目が覚めて嬉しいとはしゃぐ奴ばかりだ。
こう言う奴らは心配いらねぇ。
「…隊長。なら、菜々美はティーチの野郎と話したことも覚えてねぇんですか。」
「あぁ。そうだと聞いてる。」
「そうですか。…よかったな!ティーチ!」
「あぁ!
俺の話の中の何かがショックで菜々美がまた記憶を失ったらどうしようかと不安だった。
よかった。抜けたのが俺の記憶だけで…よかった。」
「…!!」
「ティーチお前…」
なんで、笑ってやがる。