第4章 初上陸
ドクン、ドクン、
肌で感じる力強い鼓動。
暖かい。
『…ぁ、』
心地よい温もりと安心感に包まれて目が覚めた。
?ここは…私の部屋じゃない。
それに、このぬくもりも布団じゃない。
何?…手?
『え?』
「グラララ、起きたか菜々美。」
『!え!?父さん!?』
私は父さんの体の上で寝ていた。
父さんは何故か驚いたような顔をしていたが、飛び起きた私の背に手を添えて支えてくれた。
「テメェ今、、、いや、それより、昨日のこと覚えてるか?」
『?えっと、』
島に行って、宴をして、、、
『うーん…みんなが飲み比べするって言ってから、私、どうしたんだっけ?』
そこからの記憶がまるでない。
「…そうか。」
『ね、父さん。私なんで父さんの上で寝てるの?』
「…」
父さんは少し黙っていたが、ゆっくりと口を開いた。
「…オメェが間違って酒飲んじまってな。
急にぶっ倒れたんだ。
で、初めての酒で寝ぼけて船から落ちでもしたら不味いからな。
俺の部屋に寝かせていた。」
!お酒を…全然覚えてない、、
『嘘……ごめんね、父さん、、、』
「…別に構わねぇ。」
『…でも、そこのベッドじゃなくて何故父さんの上に?』
父さんのベッドの横に置かれてる小さなベッドが目に入って、そう聞いてみた。
「…寝ぼけて起きたとき、危ねぇと思って抱き上げたらそのまま寝ちまってな。そのままにしていた。」
『…本当に迷惑かけてごめんなさい。
重くてあんまり寝れなかったでしょう…』
本当に申し訳なくて、まっすぐ顔が見れない。
父さんの逞しい胸板を見ながらそう言う。
「グラララ、テメェ1人くらい乗せてても何も変わらねぇよ。
俺もあったけぇのが上にいて心地よかった。
…お前はどうだ?硬くて寝にくくなかったか?」
『全然!あったかくて、心臓の音がして。
…こんなこと言ったら変だけど、なんだか心臓の音って聞くと安心するの。』
「グラララ、そうか。
それなら、不安になったらいつでも来い。
俺ァオメェが一人前になるまで死なねぇ!」
『うん!ありがとう!!』
あぁ、やっぱり父さんは安心する。
世界で一番の父さんだ。