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黒と白と、赤と、、、【ONE PIECE】

第4章 初上陸


『んぅ、う、、、』


「…」





気配の揺らぎで目が覚める。







『と、さん?』

「…菜々美、俺ァここにいる。」






俺は菜々美の手に触れてそう言う。
夢を見ているのか。







『兄さ、?』

「お前の兄貴達もいる。
大丈夫だ。1人じゃない。」







俺は菜々美が汗を浮かべているのに気がついて、タオルでそれを拭おうと手を伸ばした。















『かあ、さん、、』

「っ」







手からタオルが落ちる。
あぁ、お前が求めていたのはそちらの家族か。




俺は落としたタオルを持ち直し、滲んだ汗を拭いてやる。





…お前には帰りを待つ家族がいたんだな。
ここじゃなくて、ちゃんと、帰る場所があるんだな。





今アイツが呼んだ父は俺じゃない。
兄は俺の息子達じゃない。

夢にまで見るほどだ。
きっと愛し、愛されて育ったのだろう。





菜々美は彼らを求めるように手を伸ばしていた。





俺はその手を取れなかった。






やがてその手は力が抜けて、菜々美の体の横にパタリと落ちた。













『あ、、、や、』




「ん?」





『やぁ!』










急に大きな声を上げたと思えば、それは拒絶の言葉。
汗をかきながらもガタガタと体を震わせ、両腕で自分を抱くように縮こまっている。
息も荒く、酷く怯えているようだ。








『ハァッ、ハァッ、、や、』

「…菜々美」








俺は一段と小さくなった菜々美を抱き上げ、胸の前で優しく背をさすってやった。
指先で頭を撫でると、その指を抱くように抱え込む。

…しばらくそのままにしてやると、ふと、手から力が抜けていた。




菜々美の表情を伺えば、再び穏やかな寝息を立てていた。







「…」








落ち着いたようだ。

俺はこの小さいが暖かい娘をまたベッドに戻す気にはなれず、そのまま俺の胸の上で寝かせることにした。



なんて軽いんだ。

なんて小さいんだ。



こんな小娘、目を離せばすぐに死んでしまいそうで恐ろしい。

だからこそ、近くに置いておきたくて、菜々美を感じていたくて、俺はそのまま目を閉じた。
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