第4章 初上陸
兄さん達に手伝ってもらって荷物を部屋に入れた。
何もなくてガランとしていた部屋だが、一気に生活感のある部屋になる。
それからまた甲板へ戻って宴の続きだ。
隊長さん達は飲み比べをするらしく、中央へ集まっている。
私は飲めないので、他の船員達と一緒にその様子を見ていた。
「俺はイゾウ隊長に賭けるぞ!」
「俺はマルコ隊長だ!」
「いや、ビスタ隊長とジョズ隊長も捨てがたい…」
「オイオイ、誰かサッチ隊長に入れる奴いねぇの?
勝ったら大当たりだぜ?」
「「「いや、サッチ隊長万年ビリだろ。」」」
「おいソコ!聞こえてるぞ!!」
へぇ、サッチ兄さんお酒弱いんだ。
サッチ兄さんのとこだけレートがズバ抜けて高い。
「よし!始めるぞ!!!」
飲み比べが始まれば、さらにその場は盛り上がり、熱を増す。
隊長達に釣られてか、みんなのペースも上がっていく。
私はお酒の匂いに少し酔って、離れたところで飲み比べの様子を見ていた。
「ゼハハハハハ!菜々美、初めまして、だな。」
『あ、初めまして。』
そう言ってチェリーパイを片手にやってきたのは所々歯の抜けた大きな人。
まだ会ったことがないクルーだ。
「俺ァティーチってんだ。
仲良くしようぜ!妹よ。」
『あ、はい。黒咲菜々美です。』
「ゼハハハハ!緊張してるのか?
まぁ、気ィ使うな!兄妹だからな!!」
そう言ってティーチ兄さんは私の隣にドカリと座る。
むしゃむしゃとチェリーパイ頬張りながら、飲み比べの様子を見守ってるようだ。
「実はな、俺はずっと菜々美と2人で話してみたいとは思っていたんだが、お前さんが人気なもんで中々機会が無くてな。」
『そうなんだ。…私に何か聞きたいことでもあったの?』
「あぁ。そうだ。」
『うーん…わかることなら答えるけど、、、』
「ゼハハハハハ!お前さんに記憶がないことは知ってる。
そんなに難しい話じゃねぇから安心しろよ。」
『うん!わかった。なぁに?」