第4章 初上陸
「っハハハハッ、ヤベェ、もう腹が限界www
菜々美、だから言ったろ?大丈夫だって。」
『サッチ兄さん。』
目に涙を浮かべながら、サッチ兄さんは私とマルコ兄さんの間に入ってきた。
相変わらずマルコ兄さんはパイナップルに齧り付いてる。
「そもそもさ、マルコの野郎、この頭で好物パイナップルってその時点で笑えるだろ!
共食いだ共食い!!」
「誰が共食いだよい!馬鹿!!」
「いやいやいや、どこからどう見てもパイナップルがパイナップル食ってるようにしか見えねぇよ!
あ!わかった!!パイナップル食いすぎてそんな頭になったのか!?」
「サッチ…よっぽど殺られてぇみたいだな…」
「やべっ!逃げるぞ!!菜々美!」
『えぇ!?私も!?』
「ほら!走れ!!」
「待てよい!!!」
そうして鬼ごっこが始まった。
周りのみんなは囃し立てて楽しんでいる。
中にはどっちが勝つか賭けてる人もいるようだ。
結局、サッチ兄さんがマルコ兄さんに捕まって絞られていた。
あぁ、厨房に立ってる時はあんなにカッコよかったのに、今はあんなに小さくなって正座してる。
マルコ兄さんの後ろには青い炎が見える…相当お怒りのようだ。
私は陰からそれを見届けると、父さんの近くに出た。
あ、父さんにはまだお酒あげてなかったな。
『父さん!』
「菜々美か、鬼ごっこは楽しかったか?」
『見てたの?』
「あれだけ騒いでたら嫌でも目に入る。」
『ふふ、たしかにそうかも。』
父さんの周りは向こうよりも少し静かで、潮風が気持ちいい。
父さん用に買ったお酒は大きすぎて運べないから、兄さんたちが運んでくれた。
でも、そこにあるお酒はまだ栓も開けられていなかった。
『父さん、あのお酒ね、私が島で買ってきたの。
父さんから貰ったお金でっていうのも変だけど、お酒が好きって聞いたから、日頃のお返しにどうかなって思って用意したんだけど…
もしかして苦手なお酒だった?』
「グララララ、いや、そんなことはねぇ。
ただ、娘に注いで貰いたくてな。
注いでくれるか?」
『!もちろん!!』