第4章 初上陸
「ビスタ、宴のこと教えたのはテメェだな?」
「あぁ。オヤジの言いてぇことも分かるが、困ってるアイツを見てるとどうもな、味方してやりたくなっちまった。」
「グララララ、ハナッタレがァ。」
「ハハッ、でもな、みんなの好物聞いて選んでる姿は健気なもんで、それはそれは楽しそうだったさ。」
「楽しかったんなら、まぁ、いいか。
…菜々美が買わなくても、テメェ初め、街に出た兄貴達は色々と買ってきたみてぇだからなぁ。」
「…バレてたか。」
「グララララ、ったりめぇだ。その服の紙袋の量。半分は菜々美が自分で選んだんだろうが、残りは菜々美への贈り物だろう?」
「あぁ。菜々美の選ぶものは随分機能性ばかりを重視してたからな。」
「グララララ、着飾るのも女の楽しみだ。
前の和服も良かったが、他の装いもきっと似合う。」
「そうだな。」
遠くに見えるちょこちょこと歩く小さな小さな妹。
それを見つめながら、2人の顔は綻んでいた。