第10章 第八夜
『おい!答えろって、カノ!!』
その声は 虚しく部屋に響いた。
手は 頭上で握られ、足もろくに動かせない。
俺は ジタバタと無駄な抵抗を続けていたが、カノは ニコニコといつも通りの笑顔•••余裕の表情で 上から見下ろしてくる。
ゾクリと 鳥肌が立った。
カノの目が なんだか•••すごく艶めかしかったから。
カノ「カイト•••」
いつもより 少し低い、甘えた声で 名前を呼ばれる。
『な•••に?』
カノ「•••••シよ?」
カノは そう言って、怪しく微笑んだ。
俺は•••••カノが まるで猛獣にでもなったかのような感覚を抱きながら、上から見下ろす目を見返すことしか できなかった•••。