第10章 第八夜
ギィ••••••
不吉にも聞こえる音が 部屋に響く。
カイトは 今だに眠っているようで、小さな寝息を立てて ベッドに潜り込んでいる。
部屋に入ってきた 一つの影は、後ろ手で扉の鍵を閉めて 足を踏み出す。
影は 足音を殺して ベッドに近づくと、そっと カイトの頬を撫でた。
『んっ•••••』
カイトは 微かに身じろぎをするだけで、目覚める気配はない。
影は その手をゆっくり動かす。
頬から頭へ
頭から首筋へ
首筋から胸へ•••
ギシリと ベッドのスプリングが音を立てて沈んだ。
影が カイトの上に乗ったからだ。
カイトの腹を 両足で挟むようにして、体の自由を奪っている。
俗に言う 馬乗りだ。
そこまでされても、まだ カイトが起きる気配はない。
影は カイトの手をひとまとめにして、片手で抑えた。
そのまま 乱暴でも、慎重でもない手つきで、カイトの服をめくりあげる。
『うっ•••ぁ?』
布団を剥ぎ取られた上に、服をめくられたカイトは、寒かったのか フルリと体を震わせて 目を開いた。
パチパチとまばたきを繰り返す。
繰り返す。
繰り返す。
『なっ、なっな、•••に?!!?』
もはや 言葉になっていない音を発して、パクパクと口を開け閉めしている。
影は クスっと笑い、空いている手で カイトの腹を撫で回した。
『っ!?なんで•••なにしてんだよ!!』
暴れようにも すでに抵抗などできなくなっている。
『おい!答えろって、───!!』
その声は 虚しく部屋に響いた。