第10章 第八夜
じぃ──────。
ドアに付いた 小さな穴から部屋の中を覗く2人。
無論、カイトが監禁、もとい拘束されている部屋だ。
キド「寝てるな。」
セト「寝てるっすね。」
2人が そう呟けば、リビングには一斉に はぁ〜•••と ため息がはかれる。
カノ「え、寝たの?寝たの?!サヨナラ、しようか?から監禁されて 今度は睡眠タイム?!」
うわぁ、信じらんない•••とこぼすカノの横腹に、ドゴッ!っと キドの肘鉄が決まる。
キド「監禁なんて人聞きの悪いことを言うな•••頭を冷やしてもらうための ちょっとした好意だ。」
キドは そのままソファに腰を下ろし、腕を組んだ。
キド「さて、カイトはココを出て行く気らしい•••が、困ったことに 俺は あいつを手放す気は無い。」
その言葉に 皆が頷く。
キド「そこで、カイトが寝ているうちに あいつをココに引き止めておくための策を考えたいと思う。」
何か 意見は?
急に 会議っぽくなった雰囲気に戸惑いながらも、ヒビヤがポツポツと話し出した。
ヒビ「後先考えないなら、縛っておけばどこにも 行けないけど、それじゃ 根本的解決にはならないよね。」
ヒビヤは 手元の麦茶をゴクリと飲み込み、一気に話す。
ヒビ「なんか おっきな弱みとかあれば それをネタにできるけど、あんまり 乗り気はしないかな?まず、カイトにぃにそんな弱みがあるとは思えないし•••一番いいのは やっぱり 考え直してもらうことだけど、それには しばらく頭を冷やしてもらうための時間が必要だから、今は 一時的にでも、動けなくするのが 最優先じゃないかな?」
ふぅ、と 息を吐くヒビヤを横目に、キドは 大きく頷いた。
しかし、今のままでは ドア、または 窓が壊されれば 簡単に逃げられてしまう。
カイトの目の能力なら コッチの能力など子供の遊びに等しいだろう。
すっ•••と クロハが手を挙げた。
クロ「それなら─────ってのは どうだ?」
そう言った瞬間、空気が凍ったような気がした。
それこそ、蝶の羽音さえ聞こえそうなほどの静寂だった。
•••その頃、カイトは ベッドの上でなにも知らずに 安眠を貪っていた。