第10章 第八夜
夕陽に染まる町
禍々しいほどの アカ
差し込む光に照らされた ビルの一室で、少女はニコニコと 笑っていた。
•••シロだ。
既に住む人がいないその建物は、当然のように 生活臭がない。
窓は割れ、埃が舞い、水道関係は使えない。
その中で、やはり その少女は笑っていた。
まるで、パーティーを楽しみにする幼子のように。
まるで、やっと 食料にありつけた 飢えたケモノのように•••••
シロは 笑みを絶やさないまま、窓に背を向け 後ろを振り返った。
シロ「ありがとう•••あなたのおかげで やっと、やっと カイトに会えたよ。」
?「•••そうか。」
答えた誰かは、ちょうど日がささない場所に立っていて、顔が見えない。
シロ「うん、カイトね、すっごく幸せそうだった•••だからね、壊しちゃうんだ。」
ぜーんぶね?
そう言って、少女は嗤う。
ふふっ、ふふふふふ、あははははははは!!
可憐にすら聞こえる笑い声が 空にこだましたときには、ビルの中には 少女しか残っていなかった。