第10章 第八夜
キド「シンタローたちから聞いた話によると、そのシロ
ってやつは、お前が倒れてから 特になんの行動もなしに、何処かへ消えたそうだ。」
『••••••なんで いなくなったんだろ。』
シロの あの目は、俺を憎んでいるように見えた•••というか、そうとしか見えなかった。
俺に 何かするなら、あの時がやりやすかったはず。
『あいつ、なんか言ってなかった?』
なんでもいい。
シロが逃げたことが何故かわかるような、そんな「何か」はないだろうか。
そう思って 周りに問えば、一気に静かになる。
あぁ、なんか言われたな•••ってことが 空気に滲むような沈黙だ。
体感時間では とてつもなく長い数秒が過ぎ、最初に口を開いたのはカノだった。
カノ「•••実は───。」
その言葉は、再び 俺の心臓を ドクドクと脈うたせるには 十分すぎるものだった。