第10章 第八夜
〜アジトの一室〜
『助け•••て。』
ヒビ「っ•••。」
かすれた声で、呟く声が聞こえる。
僕は お兄さんの手を強く握った。
ヒビ「カイトお兄さん•••。」
まだ、お兄さんは 目を覚まさない。
悔しい。
苛立たしい。
お兄さんを こんなにした「シロ」って人が。
お兄さんを守ってくれなかった おじさんたちが。
何より、なんの力もない 自分自身が。
悔しい悔しい悔しい!!
僕は 強く唇を噛んだ。
あぁ、痛い。
血が出るほど 強く噛んだって、僕が強くなれるわけじゃない。
わかってる•••けど、やめたら なんだか泣き出してしまいそうで•••
僕はずっと、唇を噛み締めていた。