第8章 第六夜
肩の力を抜く•••
そんなこと、していいのだろうか、バケモノである俺が。
周りを見れば、カノもセトもシンタローも ヒビヤもコノハもクロハも頷いていた。
そっか、いいのか。
そう思うと同時に、俺の頬を温かい何かが伝った。
コノ「なんで…泣いてるの?」
伝っていた「それ」は、俺が 長年流していなかった「涙」というものだった。
『ゴメン、嬉しくて•••』
そう呟くと、みんなは 微笑を浮かべた。
俺は この時、
幸せで 幸せで 幸せで、
だから、やっぱり 気づかなかった。
俺の後をつける「何か」がこの会話を聞いていることも•••その「何か」が悔しそうに、血が出るほど爪を噛んでいることも。
やっぱり、気づかなかった。