第6章 第五夜
『クロハの 言いたいこと、よくわからないんだけど•••もっとわかりやすく言って?』
そう言ってから しばらくたった。
『クロハ?』
微笑みながら 顔を覗き込む。
クロ「っ!見るなっ!!」
クロハの顔は 真っ赤で、うっすらと涙目だった。
『えっ、泣いてるの?』
クロ「っ!」
クロハは 顔を隠そうとする。
『そんなに 寂しかったの?』
そう笑って言うと、クロハは顔を さらに赤く染めた。
何気にプライドの高いクロハのことだ。自分から構って欲しいなんてそうそう言えないだろう。
あーもう、なに?このかわいい生き物。
そう思って クロハの頭をぐしゃぐしゃと掻き回す。
クロ「••••わ、あっ、やっ!」
俺は パッと手を離した。
クロ「えっ•••」
『だって、嫌なんでしょ?』
ニヤッと笑うと、クロハは 顔を歪めた。
クロ「いい性格してんな•••」
ああ そんな顔するなよ。そんなんじゃ、
『もっと 苛めたくなる•••。』
俺は クロハを壁まで追い詰めて、手を頭の横につく。
クロハは座った状態で、俺を見上げた。
『クロハ?言ったよね、俺。もっとわかりやすく言って、ってさ?』
優しく促す。
『ね?』
クロ「カイトと…一緒にいたい…」
目の端に涙を溜めて、小さく呟く。
『よく出来ました。』
俺は そう言って、クロハの頭をまた ぐしゃぐしゃと撫でた。
クロ「ん」
クロハは 気持ち良さそうに目をとじた。
クロハの痴態&ナデナデで、俺は満足したのだが、クロハはそうではないようで、俺から離れようとしない。
『なぁ クロハー、離して?』
クロ「もっと遊びたい。」
どうやら、今までより懐かれたみたいだ。
「『••••••』」
『はぁ〜 もう、ホントに離してくんない?』
クロ「嫌だ。」
『わかった•••夜なら遊んであげるから。』
クロ「ホントに?」
『ホントに。』
クロ「•••わかった」
やっと 離してくれた。
でも、ただ クロハが重かっただけで、なにもやることがなかったりする。
『シンタロー、何してんだろ。』
そういや•••思い立ったが吉日っていうよね?