第6章 第五夜
口元が 強く圧迫されている。
唇の端から 熱い吐息が漏れ、羞恥と気分の高揚で 頬が染まっていく。
『くぅ•••ん•••』
さすがに 息が続かなくなり、セトの肩を押す。
セトは 意外にも、アッサリ退いてくれた。
乱れた呼吸を整えていると、セトがニコッと笑った。
セト「俺の 気持ち•••••分かってくれたっすか?」
セトは 俺と違い、息ひとつ乱れていない。
ああ•••本当に•••••
『•••ムカつくな。』
セト「えっ?」
ドサッ
気づくと、俺は セトを 押し倒していた。
セト「カイトにいちゃん•••?!?なにしてッ??!」
『セト•••俺を襲おうなんて、いい度胸だな。』
そう言って、唇の端を上げる。
セトは 驚いて俺を見上げているばかりで、抵抗どころか 身動きひとつしない。
試しに 馬乗りになって、首筋に歯をたててみた。すると、
セト「あっ?!!」
さっきの 俺と同じように、顔を赤らめ 声をだした。
『俺を襲おうなんて 100年早いってーの•••なぁ?幸助。』
そう 耳元で囁くと、さらに顔が赤く染まる。
こうなると、もう 止まらない。
俺は セトの唇に 自分のそれを重ねた。
セト「ふっ•••ぅ••••///」
そっと セトの唇を舐めると、セトは 素直に口を開けた。
少し乱暴に舌を使って、セトの口内を蹂躙する。
唾液の絡む音、ベッドの軋む音、セトの掠れた甘い声••••••。
しばらくして 口を離すと、銀糸が俺たちを繋いだ。
セトの唇からは、どちらのものかもわからない 唾液が頬を伝っていた。
セトは 息を荒げ、頬を上気させ、どこか 恍惚とした表情で 俺を見上げる。
その反応に満足した俺は、セトの口元についている唾液を舐めとり、笑う。
『もう 寝ようか。』
セトは ゆっくり頷いて、布団に 潜り込んだ。
セトと 背中合わせに寝っ転がった俺には、すぐに睡魔が襲ってきた。
重くなったまぶたを閉じ、暗闇に身を委ねる。
だから、きっと 夢だったのだろう。
セトが 俺の唇にそっと触れ、「もっと して欲しかったっす。」なんて 言っていたのは•••••••