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灰色噺〜ハイイロメモリーズ〜 『カゲプロ』の話

第5章 第四夜


『気になる?なんで俺が成長してないのか。』


そう聞くと 3人は黙って頷いた。

シンタローたちは、首を傾げながらも 口を挟まない。


俺は 小さく笑い、言い放った。


『簡単なことだよ。不老不死なんだ•••俺。』


そう言うと、全員が同時に 目を見張った、それこそ 面白いくらいに。


セト「なんでそうなったか•••聞いてもいいっすか?」


セトが 真剣な面持ちで 問いかける。


俺は そっと目を閉じて、頷いた。


『俺•••••一回死んだんだよね。』

そう言って、俺は 昔の記憶を手繰り寄せる。


『いつのこと とか、そういうのは忘れたんだけど、俺は殺されたんだ。』



死んだ場所は 確か•••教会。

俺は、生け贄だった。


その日 生け贄になったのは、俺と 一人の少女。

『神』への 生け贄は、俺たちが初めてだったようで、教会の中は 狂気で溢れていた。


ただのガキが 抵抗出来るワケもなく、俺たちは つつがなく供物として死んだ。





•••••はずだったのだが、俺はすぐに目を覚ました。


視界に入ったのは、長くて黒い髪を揺らしながら俺を見下ろす少女•••いや『神』の姿。


『•••あのこは?』

『神』に そう尋ねると、助けられなかったと言われた。


話を聞く限り、俺たちは『神』への供物だったが、『神』は そんな事望んでいなかったらしく、『神』は 俺たちを助けようとしてくれたとのこと。

つまり、俺たちは 殺され損ってことだ。


少女は 完全に 事切れていて 助けられなかったが、俺は まだ息があったため 回復できたのだそうだ。


『神』は、その後 俺に 説明してくれた。

俺を 助けるために、俺に『目の能力』を与えた事。

少女を助けるために用意した『目の能力』は、使うことができなかったため 俺の中にある事。

俺は 生きながらえることには 成功したが、その代償として、体の成長が止まってしまった事。


•••こうして 俺は、永い時を独りで 生きることになった。






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