第5章 第四夜
話が終わり 顔をあげると、みんなは 何も言わず 俺を見つめていた。
『これで 話は終わり•••••納得してくれたかな?』
軽い口調で そう言うと、キドが 少し泣きそうな顔で頷いた。
なんで 泣きそうになってるんだろう•••と思ったがさすがに 俺が化物だとわかった今、その化物に慰められたくはないだろうと、出しそうになった手を 引っ込める。
シーン•••••と空気が静まりかえった。
カノ「で?」
『え?』
気まずい沈黙を破ったのは カノだった。
カノ「僕の質問には答えてくれないの?」
カノはそう言って、俺を見る。
『あ、ああ•••これからどうするか、だっけ。』
随分と真剣なカノのオーラに 少し気圧されながら、俺は答える。
『そうだな、今まで通り•••いろんな街を転々として暮らそうかと。』
そう言うと、カノは微妙に不機嫌になった。
カノ「だってよ?キド。」
その言葉を聞き キドの方を向くと、キドはがっつり 俺を睨んでいた。
キド「カイト•••また 俺たちの前から消えるつもりか?」
その言葉の意味が わからないほど、俺はバカじゃない。
『•••みんな、話聞いてたよね?』
頷く。
『•••みんな、俺の過去 分かったよね?』
頷く。
『•••みんな、俺が化物だって解ったよね?』
否定。
全員が 首を左右に振った。
『•••なんで?』
俺は 首を傾げる。
セト「じゃあ 聞くっすけど、カイトにいちゃん•••俺たちは化物っすか?にいちゃんと同じ赤い目を持つ俺たちを化物だと思うっすか?」
俺は もちろん否定する。
カノ「それなら、カイトにいちゃんも 化物じゃないよ。」
カノが 笑いながら言う。
キド「残念だったな カイト•••もう 俺たちはあんたを手放す気は無いんだ。」
『•••じゃあ、俺 ここにいてもいいの?』
そう 聞くと、キドはフッと不敵に笑って、頷いた。
•••涙目だから カッコ良くはなかったけど。
『ッ•••これから よろしく!』
•••••俺も ちょっと 泣きそうだったのは、秘密の話だ。