第5章 第四夜
キド「じゃあ、俺たちが嫌いだから いなくなったとか•••そんなんじゃないんだな!?」
俺が話し終ると、キドが 焦ったように 聞いてきた。
『もちろん。俺が おまえらを 嫌いになるなんて ありえねーよ。』
そう言って 微笑みかけると 、キドは安心したように 息をはいた。
『それじゃあ•••』
俺は、冷めてしまった紅茶を 一気に飲み干した。
『次はセトの質問に 答えようか。』
そっと セトに目をやると、緊張しているのか 拳を震わせながら、俺を見つめている。
『俺が持つ目は、名前をつけるとすれば 開くと閉じる•••かな。』
セト「二つもあるんっすか!?」
『まあ、いろいろあってな•••ああ、キド タオルあるかな。』
キドから タオルを受け取ると、俺は 徐にセトの目を隠した。
セト「うわあ!ちょっ、何するんっすか•••!」
『はいはい、おとなしくしてねー。』
完全に 目を隠し終わった 俺は セトに話しかける。
『セト、目見える?』
セト「見えるワケ無いっす!」
何を恥ずかしがっているのか、顔が赤いが 追求はしないでおこう。
『じゃあ、コレなら?』
そう言って 俺は、『目を開いた』。
『俺が どこにいるのか あててみてね。』と言い、セトが座っている ソファーの左側へ移動する。
セト「•••俺の•••左側っす•••••。」
部屋の中がざわめいた。
『コレが目を開く能力。どんな状態でも 周りを見ることが出来る。』
俺は続けざまに、カノに向かって『目を閉じた』。
なんでカノかって?もちろん なんとなくだ。←
カノ「っ!?うわわぁあっ!」
カノは 悲鳴を上げ、そのまま バランスを崩して こけた。
シン「カノ!?」
心配しているシンタローを横目に、俺は笑いを噛み殺しながら 問いかける。
『カノ、どうだ?』
カノ「•••••••何も 見えない。」
そう。開くと閉じるは 正反対の能力だ。
まあ、名前から 想像はつくと思うが。
俺は セトのタオルをはずした。
『セト•••これで満足した?』
コクリと小さく頷いたセトの顔は、真っ赤なままだった。