第5章 第四夜
『まずは、キドと シンタローのから 答えようか。』
俺は 目を固く 閉じて、あの日の記憶を 辿りはじめた。
あの日は•••そう、怠いくらいの 快晴で、炎天下に 陽炎が揺らいでいる•••••そんな日だったと思う。
その日、恐ろしいほど 暇だった俺は、あてもなく街を歩きまわっていた。
そのまま しばらく歩きまわっていると、公園があった。
今日は 平日だから、子供はいないはずだし、この暑い中 好きこのんで 外に出たがる大人が いるはずもない。
そのため、公園は 貸し切り状態だった。
思いのほか、公園は 街より涼しく、気分が良くなった俺は、そのまま 木陰で うたた寝をはじめた。
どれくらい 時間が たったのか、俺は 何かの叫び声で 目を覚ました。
飛び起きると、3人の子供が 大勢の大人に囲まれている。
どうやら、喧嘩•••いや、イジメのようだ。
時折 漏れ聞こえる声は、化物だの汚いだの死ねだの、とにかく 口汚い罵りの言葉ばかり。
少なくとも、大人が子供相手に 言っていい言葉ではない。
大方、そこらのアホな不良にからまれているのだろう と思い、声をかけようと立ち上がったとき、不良?の1人が 3人の子供のうちの1人を殴った。
『っ!?なにやってんだ あいつら•••!』
俺は すぐに、その子供たちに走り寄った。
『大丈夫か!?』
かなり 強く殴られたのだろう。その子はゲホゲホと咳をしていた。
俺は、大人共を睨みつけて 口をひらく。
『なんで こんな事しやがる。』
大人たちは、俺の乱入に驚いていたようだったが、すぐに嘲笑を浮かべ 話し出した。
ガヤガヤ ガヤガヤと同時に喋られたので、よく聞こえなかったが、だいたいの理由は•••
化物だから
不気味だから
気持ち悪いから
そんな 理不尽極まりないものだった。
俺は 思わず溜め息をつく。
頭の中が ぐちゃぐちゃになって、怒りが収まらない。
気がつくと 俺は、その子供たちを守るように 大人たちと 対峙していた。