第15章 第十夜、丑の刻
カイトにぃに手を引かれ、僕たちが連れて来られたのは、なんとも年季の入った、もといボロい小屋だった。
セト「あの…ここって…?」
『ん?俺の家』
ガタガタと入り口を開けて、僕たちを家の中に入れるカイトにぃ。
『ゴメンなー。今はほんっとーに!急いでるから、終わったらすぐに戻ってくるからさ!』
あんたらのお偉方への告げ口は無しな!と言うと同時に、カイトにぃは走り出した。
カノ「もしかしてカイトにぃ…僕たちを外国の使節かなんかだと勘違いしてる?」
セト「あー、なるほど。そういうことなら納得できるっすね、あの態度も」
カイトにぃが話してた内容を思い返しても、そう考えると辻褄があう…と思う。
カノ「仕事終わらせてから帰ってくるらしいし、ここで待ってればいいのかな…?」
セト「そうっすね…それしかやることって……て、カノ、アレ…なんっすか?」
セトが指差した先を見ると、なにやらキラリと太陽の光に反射するものが。
近づくと、青色のガラスみたいなものがはめ込まれた板が落ちていた。
大きさは、だいたいかまぼこ板を半分にしたくらい。
ガラスがはまった面には、カイトという文字が彫り込まれていた。
セト「これって、にぃちゃんの落し物じゃないんすか?」
カノ「…だよね」
僕たちは顔を見合わせて、カイトにぃの家から飛び出した。
それが、最悪の選択になるとも知らずに。