第2章 甘えん坊の特級呪霊
やっとゆっくり出来る…。
いや、今回の任務は私自身がした事なんて大したことではないが、あの蠱毒に引っ付かれてから気を休めなかった為に、風呂の中だけでも休みたい。
「 はぁー…報告書…。五条さん、やってくれませんかね…… 」
補助監督の者には、何とか誤魔化しを入れたが、バレるのも時間の問題だろう。
上の連中が知れば、殺せと言うだろうが、あの少女からは殺意が感じられない。
そんな相手を殺す選択がある事が、呪術師はクソだと思う。
湯で濡らしたタオルを顔に掛けていれば、走ってくる足音に嫌な予感がし、タオルを手に取れば、スパンっ!!と音と共に脱衣場に繋がる扉がバラバラになった。
「 は……? 」
ガラスが砕ける事無く、切れただけの扉に驚くも、そんな事をお構いなしに、少女は皿を向けてきた。
「 マァマァ、ナイナイ! 」
「 此処ホテルなんですが…って、何が言いたいんですか? 」
子供が居るわけでも、世話をした事もない。
赤ちゃん言葉が分かるはずもなく、眉を寄せ問えば、少女は、パンが乗った皿を差し出して、何度か首を振る。
よく見れば、入っていた葉野菜だけ無くなり、トマトやチーズ等の物は残っている。
そして首を振るのを見て、察する。
「 葉野菜が足りなかったんですか?そんなの、後で買いに行きますよ 」
「 マーマー? 」
「 葉野菜だけなら、サラダとかありますので 」
食べ物?そう言ってるような様子に、なんとなく1年生の狗巻棘という少年と話してる時を思い出す。
彼も語尾はおにぎりの具で絞ってる為に、会話が成り立つのは1年生組ぐらいだろう。
なるほど、なら…彼等なら、会話ができるのではないか?と思った。
只、会わせるのは五条さんの判断次第だが…。
「 これは私が食べます。あとで買ってきますので 」
残されても勿体無い為に、パンを手に取りその場で口に含み食べれば、少し驚いた顔をした少女は、何故か直ぐに笑った。
自分が与えた食物を嬉しそうに食べたくれるとでも思ったのだろうか…。
元は私が渡したのだが…、まぁいいか。
「 アイルー! 」
「 ……… 」
服を脱ぐことなく、湯船に入って来た為に、いろいろと諦めた。
パンを早々に食べ終え、着せやすいワンピースの裾を掴み、頭の方へと持ち上げ服を脱がし、適当に落とし、二人で浸かる。
