第8章 ※超えた一線
風呂に入る時、妃翠は湯船のお湯を見て少し渋い顔をしていたが、深さが違う為に素直に入っていた。
イルカやシャチのいる水槽に入ったと聞いてた為に、先にしっかりと洗いましたがね。
「 ンー…… 」
「 今日はお疲れでしょう?先に寝室で休んでいいんですよ 」
まだ、大人が寝るにはかなり早い時間だが妃翠は眠いのだろう。
目を擦る様子を見て問えば、少し嫌そうな顔をし、ソファーに座ってる私の横へと来ては、膝の上へと頭を置いた。
「 後で運べって事ですか…。まぁいいですが 」
ごく普通に甘えてくる為に、もう文句を言う気も起きない。
此方に顔を向け、太腿に乗ってる頬を擦り付けてくる妃翠はそのまま目を閉じ眠り始めた。
どんなに1年生の彼等と過ごしても、飼い主から離れるのはまだまだ先になりそうですね。
「 余り、無茶はしないように… 」
翡翠色の髪に触れ、そっと頭の形にそって数回撫でては、視線をノートパソコンへと向ける。
脱サラとは言えど、高等の任務後も仕事が似ている。
やる事は討伐だけじゃ無い為に、面倒だ。
「 フー……んー… 」
仕事を終え、大きく背伸びをすれば気怠さと共に男としての面倒なあれが気になる。
膝の子は爆睡してる為に、何となく検索するものをアダルト変え、動画を付ける為に手元にイヤホンジャックを挿し、片方を耳へと付ける。
音量を調整し、取り敢えず目に付いた外国物の無修正を再生させる。
「( 余り、興奮はしませんね… )」
バッグで攻めてる様子を見ても、腰に来るものがなく、他の体位を見ていく。
目に止まったのは、フェラをしてる場面だ。
「( フェラ…。これと言って好きでも無いんですがね )」
歯が当たる事を考えれば、何故好きな男が多いのか疑問になる。
そこまで信用してるのか、それとも当たった多少の痛みですら快楽として拾うのか。
何方にせよ、私は好きではない。
性欲が多い平均男性と考えれば、常に発散しなくてもいいと思う程度だが、偶に任務が少なく、無駄な体力が余ってる時や、逆に疲れ過ぎて思考が鈍ってる時は欲を発散したくなる。
「 ン… 」
「( は……? )」
僅かに動いた妃翠の顔は、ズボン越しとは言えど吐息が諸に当たる位置だった。
思考が停止し、諸に耳に届く女優の声。