第7章 蠱毒の弱点
私にとっては笑い事ではなかった。
特級呪霊が、風呂で溺れてるのを初めて見たのだから……。
「 妃翠の身体には、針金虫が存在する。溺れさせようと仕向けるものが…。なので、身体が上手く浮かないようです 」
「 ククッ…。そっかぁ、針金虫がいるもんね。でも、蜻蛉の前はヤゴだし…、泳げないってことは無いと思うよ。使い方次第だって 」
「 そうだといいんですがね 」
様々な虫の生態を引き継いでるが、その分のリスクも大きい。
使い方次第では重りにもなるが、使えれば武器にもなる。
此ればかりは実戦で経験しなければ、意味が無いでしょうから…。
呪霊は実技で力を発揮する。
本当に死にかけた時に、本来の力が出せるのなら潜在能力を開花させるには、多少なりと死にかけるぐらいが丁度いいのかも知れませんね。
「 七海ってさ、過保護だよね。心配で落ち着きないよ 」
「 過保護にもなりますよ、保護者なのですから 」
「 おっ、言うようになったね〜。大丈夫だって、妃翠は強いから 」
確かに、その辺の呪術師より強いかも知れないが、
其れは力の使い方を理解し、扱えるようになってからだ。
今はまだ、手探り状態の為に強さで考えれば3級を倒せてやっと…。
1級呪霊などが現れれば、深手を追うだろう…。
呪霊の身体は呪力によって出来てる為に、
人間のような高度な反転術式は必要無いと言っても、それが一度の戦闘で何度も行える訳でもない。
「 少し、出掛けてきます 」
「 本当、心配性だね。行ってら〜 」
今ならまだ追い付くでしょう。
もう少し、軽い任務からさせるように釘を刺していれば良かったと思う。
珈琲を飲み干し、スーツを整えてからこの部屋を後にした。
〜 真希 視点 〜
「 ったく、多過ぎね…? 」
倒しても、倒しても切りがないほどに出てくる雑魚に、向こうは大丈夫だろうか?と疑問になる。
パンダがいるから大丈夫だろうが、もしって時の事を考えて合流しとくか。
「 その為には…こいつ等を片付けるしかねぇな! 」
1級呪具、双剣を持ち直す。
余り、雑魚にいい呪具は使いたくないが除霊するには早々に決着付くものがいい。
それに、短剣なら左右に水槽がある場所だろうと動かるからな。
持ってきてよかったと思う。