第7章 蠱毒の弱点
呪いってのは人間だけじゃない。
生きてる物全てに、負の感情がある時点で、
少なからず其れは徐々に蓄積され、呪霊として形になる。
「 数が多くね? 」
「 マーマー!ヤー! 」
「 だよな。よっぽど水槽に詰められたのが気に入らねぇんだな 」
小さな呪霊は、小さな物達の気持ちによって形になったもの。
狭い、食われる、人間の視線が嫌だ…そんな生き物達の負の感情が形になってるのか、現れる呪霊も魚っぽい
手足がある訳ではなく、壁をすり抜け泳ぐ姿を見ると、こりゃすぐに終わりそうにねぇなって思う。
だって、多いだもん。
「 妃翠、悪いけど先に行ってくれるか?俺はここ片付ける 」
「 マー!! 」
「 でも、ガラスは割っちゃ駄目だぞ。悟は兎も角、七海も困るからさ 」
「 マーマ! 」
手を上げて返事をした妃翠は、横から来た呪霊を蹴飛ばして、壁にぶつける間際で蜘蛛の糸で防ぎ、その状態で切った。
ちゃんと分かってると判断し、深く頷けば妃翠は雑魚呪霊を倒した後、先へと進む。
「 ギィッ 」
「 ヒュルル 」
「 っても、妃翠を一人にすると真希に怒られそうだから、すぐに追い掛けるけどな 」
バッグを下ろし、横の壁へと滑らせ置けば、両手に布を巻き付けながら、複数の呪霊を見渡し、向かった来たのから潰していく。
「 ギィッ!? 」
「 ギルルッ! 」
「 オラオラ、どうした?数だけかよ 」
確実に倒しては妃翠が余り遠くに行ってない事を願う。
ほら、余り遠くに行って、もし1級相当の呪霊とか出会って盛大に戦ってたら後々大変だろ?
それで、目を離してたーとか言われると困っちゃうし。
特級呪霊の妃翠がそう簡単にやれるとは思ってないけど、万が一って事を考えた場合だ。
「 よし、ラスト一匹。ここは終わったな。妃翠を探しに行こう 」
最後の雑魚を倒しきって、真希のバッグを拾い上げては肩に担ぎ直して走っていく。
「 ンマァー!! 」
「 妃翠!!!? 」
ショーステージにあるシャチやイルカが普段いる大型水槽の前へと出れば、目の前を妃翠が通過した。
それも脚にはタコみたいな触手があり、その本体の方を向けば、嫌な予感は的中してた。
「 おいおい、1級相当だろ 」