第7章 蠱毒の弱点
あんな事を言われたが、俺は妃翠を子守りだとは思った事はない。
そりゃ、最初はあったかも知れないが妃翠は言動は子供っぽいけど、ちゃんと俺達の言ってる意味は理解してるし、学んでる。
だから、少し勉強が遅れてるって雰囲気なだけで
子守りよりは簡単だな。
「 妃翠、俺達も行こうぜ。呪霊の居場所とか分かるか? 」
「 マンマー! 」
ペンギンから視線を外し、此方へと戻って来た後に大きく頷いて歩き出す。
真希、俺達の方が多く討伐しそうだぞ。
バッグを持ったままは動き辛いが、戦闘になればその辺に下ろしてもまた拾えばいい。
真希が見てないなら多少雑に扱ってもバレないからな。
問題はないと頷く。
「 マー……! 」
「 妃翠は水族館に来るのも初めてだったな。綺麗だよな。人間のエゴで海に生きる奴を狭い水槽で飼って鑑賞してる。でも、このおかげで人間はその魚の実際のサイズや環境も分かる。近くで飼うからこそ、分からなかったものがわかるもんだ 」
「 ママ…… 」
大型水槽を覗いて、興味と言う感じではなく何かを思い出してるように思えた。
そう言えば、悟が妃翠は幼虫の頃からカゴで飼われていた蛾だった、って言ってたから、
その時と水槽の中にいる魚が重なって見えたのだろうか。
ママ、と単調に発音する時は七海の前ぐらいだし、今は本人が居ないから、そのママってのは記憶に残る飼い主なんだろう。
「( おっ!俺って妃翠の言葉を理解しつつあるんじゃないか!?流石、棘で慣れてるだけあるぜ )」
推測でしかないが、そんな気がした為に自分で感心していれば、妃翠はガラスに触れていた手は外れ、頭についてる触覚はピクリと動く。
「 マーマー!! 」
「 呪霊が近くにいるんだな!よし、行こうぜ 」
反応したのが呪霊の感じだと分かれば、妃翠は走り出した為に追い掛ける。
呪力が少ない呪霊って探すのが大変なんだよな。
大き過ぎても感知できないぐらい消すのが上手いが、2級、1級程度なら分かる。
でも、それ以下の下級のって分からないんだよ。
だから妃翠が居てくれるのは助かる。
「 マー!! 」
「 ナイス、妃翠! 」
案の定、小さい雑魚呪霊が現れた。