第1章 孤独な蠱毒
私を狙う事なく、真横を過ぎた鎌は、後ろにあり振り返れば呪霊の頭に鎌は突き刺さり、横へと動かし、頭から首に掛けて切り落とした。
呪霊は灰となり消え、特級呪霊は蜘蛛の脚を動かし、動き始めた。
「 私を攻撃しないんですか? 」
何故、言葉が通じない呪霊に聞くのか分からないが、無意識に問えば、鎌を向けた呪霊は刃を口元で舐めてから、百足の尾を揺らす。
「 マ、マ…は、マモル…… 」
「 は……? 」
だから私はママでは無いと、そう言い掛けた言葉は消えた呪霊によって喉で突っ変える。
私を派遣した五条さんが何か知ってるのではないかと思い、ポケットからスマホを出し、窓から外を眺め、電話を掛けた。
゙ 七海〜、どうしたの〜?終わった?七海ならもう、終わってるよねー? ゙
「 残念ですが終わっていませんよ。貴方、今回の呪霊についてなにか知ってるでしょ?襲って来ないのですが 」
゙ ブハッ!!やっぱり?やっぱり七海には襲わないかー ゙
お茶でも吹き出したように笑った五条さんに、帰ったら一発ぐらい殴ってもいいだろうか?と思う。
ゲラゲラと一人で爆笑してる様子に、離れていてもスマホが汚く思えてきて、少し耳から離したところで問う。
「 理由はなんですか 」
゙ あはは、可笑しいー。はー。その蠱毒さ、元は貴族の娘さんのペットで、大切って程じゃないけど、飼われてたらしい。その時の娘さん、異国の髪色をしてたみたいだよ ゙
「 金髪って理由だけで、間違えますか? 」
゙ 相手は虫だからね。仕方ないよ。あ~可笑しい ゙
「 理由は分かりました。失礼します 」
未だに笑ってる様な五条さんを放置し、電話の受話器を切れば、呪霊を探しに走る。
ママと言ってたのは飼い主か、けれど大切にってわけでも無いのに、何故そこまでして守ろうとするのか。
いや、鳥の刷り込み効果と同じやつだろうと思えば納得は出来る。
「 本当に、厄介な相手ですね 」
私が飼い主で無い事を知り、襲ってくれれば……
走っていれば真横に落ちる大きな影、そしてその上には複数の呪霊が被さっていた。
矢張り、喰うわけではなく、
生まれたばかりの呪霊を喰おうとして増えていたのか…!