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【呪術廻戦】愛され少女は特級呪霊

第1章 孤独な蠱毒


〜 七海 視点 〜


「 あの人は喰うと言ってませんでしたか…?減るどころか、増えてるじゃないですか 」

校舎に入れば直ぐに人を求めて、低級の呪霊が集まって来た。
それ等を倒すばかりで、目的となる呪霊は現れない。

特級呪霊の様な気配は無く、姿を隠すのが上手いのだと思うが、この数の雑魚を見る限り喰ってる様子がないように見える。
いや、腹が膨れてないから喰ってないだけか? 

どの道、邪魔な雑魚を始末しなければお目当ての物は現れないだろう。

「 其れにしても、特級呪物の上に建設するなんて馬鹿なんでしょうか。封印が弱まる事は必然でしょうに… 」

蠱毒となった壺はこの校舎の下にあるのだろう。
湧いてでくる呪霊を見れば、呪いそのものが埋まっているようだ。
そんな呪物の上に、学校を設立して、子供達が呪われる事を少しでも大人は考えなかったのだろうかと疑問を抱く。

「 考えても仕方ないですね 」

呪物であった特級呪霊諸とも祓えばいいだけ。
そうすれば、生徒達はまた学校生活が送れる。

馬鹿な大人の尻拭いは、他の大人がすればいい。

時計の針が17時を過ぎた為に、溜め息が漏れる。

「 あなたが直ぐに出て来ない為に、残業する事になったのですよ。如何してくれますか? 」

鈍らを背中へと差し直し、ネクタイを緩めては拳へと巻き付けながら、ゆっくりと後ろへと振り向けば、そこには呪霊と言うより、蟲と言ったほうが分かりやすい姿のモノが現れた。

顔は蝶、前脚と身体は蟷螂、羽は蜂、尾は百足、脚は蜘蛛。
様々な虫を取り込んだ姿をした特級呪霊は、90度に首を傾げては、声を発する。

「 マ、マ…… 」

「 ママ?私はママでは有りませんし、大体女でも無いですから 」

嗚呼…この呪霊は生まれたばかりなのか。
呪物として封印され、弱まったタイミングで外に出れば、何も分からない世界に戸惑い、離れる事の出来ないここで、放浪し自分の生みの親を探すだけ。

「 マ…マ……。…キ、レイ…? 」

他の特級呪霊より、言語が噛み合わない。
いや、言葉数が少なく覚えてるのも少ないだけか?

やり辛い相手だと思い、拳に込める呪力を緩めた瞬間、呪霊は動いた。

「 っ!( しまった )」

油断したと察し、受け身を取る前に蟷螂の持つ鎌は私の横を過ぎていった。



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