第6章 語彙絞りペア
広い遊園地を、片っ端から見て回る必要はないけど
遊園地が初めてらしい妃翠は、乗りたくてウズウズしてるみたい。
スタッフがいて、動かして貰えるなら乗せてあげたいけど、今は完全に止めてるから無理なんだよな。
この依頼が終わって、此処が使えるようになったらもう一度連れて来ようかな。
あ、いや、それってデートに誘…いやいや!
「 マァー! 」
「 ツナ? 」
変な事を考えてたら、真上へと袖の長い手を向けた妃翠に言われた為に、視線を上げればジェットコースターの上に、大きな呪霊が居た。
凄い高さに居ることに、一瞬如何やって落とそうか考える。
まだ、こっちに気付いてないようで辺りを見渡しては、欠伸をしてる様子を見ると、あれが大元だろうか。
準2級…ぐらいはありそうだと思う。
「 マンマァー?( 落とそうか? )」
「 しゃけ( うん、お願い )」
言葉が届く距離まで接近したいが、そこまで届かないと思っていれば、妃翠が落としてくれるみたいで任せる事にした。
頷けば、直ぐにバッタの瞬発力を使いジャンプし、高さがある事に蜘蛛の糸を伸ばし、更に上へと目指した。
一気に、ジェットコースターの頂点まで上がっていけば、呪霊が気付いた時にはその顔面に向け回し蹴りをした。
「 グフッ!!! 」
「 すじこ〜 」
流石、グランドを崩壊させた馬鹿力なだけある。
あんな高さから蹴り飛ばしたのに、呪霊は地面に高速で落下し、激突した。
死ぬことは無かったが、動きが鈍ってる為に口元を隠すファスナーを下げ、向かって行けば、俺の前へと妃翠が降りてきた。
「 マッマ!」
「 ツナ? 」
此れまで止めなかった為に少し驚けば、妃翠は呪霊が動いた瞬間に、此方へと振り返った。
「 !? 」
「 グァ!! 」
振り返るまではいい。
けど、俺より小さな身体で軽々と荷物のように担いで、ジャンプして攻撃を避けた事に驚いた。
「 マー! 」
「( 俺…男なんだけど… )」
一旦距離を取ろうってのは分かるけど、
そんな…軽々と運ばれると傷付くんだけどな…。
流石、馬鹿力の呪霊…重さは関係ないってことか…。