第5章 任務に同行
〜 じゅじゅプラス 七海 視点 〜
「 言葉…… 」
「 ママー? 」
最初に出会った時に゙ 守る ゙と言う言葉を発していたり゙ 嫌 ゙と言う否定の言葉すら言えていたはず。
何故、それ以外の発音をしなくなったのか疑問になり考えた。
自宅のソファーに腰を下ろす私の膝の上に我が物顔で座り、此方を見上げる様子を眺め、
両手で頬を掴み、ふにっと口先を尖らせるようにした後、頬を後ろへと引く。
「 ウー、イー。ってしてみてください 」
「 マー、マー…… 」
「 ウーです。ウー 」
口先を尖らせ、声を発しさせようとすれば私の様子をじっと見詰めた妃翠は、口先を尖らせる。
「 ウー! 」
「 そう、その調子です。次はイー 」
軽く閉じた歯を見せ声を発すれば、不器用に口を閉じてウの口からイへと変えた。
「 イーー 」
イーと言うより、二に聞こえるが、良く出来たと頭へと手を置き軽く撫でてから、ふっとママではなく名で呼ばせようと考え付いた。
「 建人です。ケーンートー。言えますか? 」
「 マーンーマー! 」
「 ……… 」
頑張って言ってる感が有るけれど、自慢気にふんっと鼻を鳴らした様子を見て、私の名前を言わせるのはまだ先かと思う。
教えたところで、建人と人前で呼び捨てにされたくも無いですし…今は諦めて上げます。
「 貴女は、妃翠ですよ。自分の名前ぐらい言えるようになりましょうね 」
「 ママ! 」
後頭部を撫でて、言い聞かせる様に言えば妃翠は両手を伸ばし、私の頭に触れ同じ様にヨシヨシと撫でてきた。
「 ママ。マンマー 」
「 もう…。ママで良いですよ 」
゙ ママ ゙そう発音するのは私だけなら許しましょう。
他の人に言うのなら、お弁当の野菜を3種類まで絞りますが…。
「 やぁ、妃翠。お土産欲しい? 」
「 ママ!! 」
「 チッ……。妃翠、今日の晩御飯はキャベツだけにしますから 」
「 マッ!? 」
言った傍から五条さんにも言うんですか?
何故か、無性に腹が立ちますね……。
「 七海ってさ、実はママ呼び気に入ってるでしょ? 」
「 何等分になりたいのか言って下さい。バラします 」
「 ごめんって…( モンペこわっ… )」