第4章 恵と手合わせ
〜 狗巻 視点 〜
此処にいる誰もが、妃翠が領域展開を出せる程とは思わなかったはず。
まだ不完全で、全てを覆い隠す程の力は無いにしろ、足場までは出来るって事は、完成も近い。
特級呪霊であるから、戦闘に関する成長も早いんだと思う。
「 マンマ( おなか空いたー )」
「 しゃけ( そうだね。ご飯にしようか )」
あんなに動いたらお腹すくよな。
皆にも昼御飯にするよう伝えれば、其々に持ってきていた弁当を持ち、木陰に移動する。
恵は、五条さんに任務の報告書を渡しに行くとかでその場を離れれば俺達だけで昼御飯を食べる。
「 いくら ツナマヨ 」
「 マンマー! 」
クーラーボックスを開け、妃翠のお昼ご飯を見れば野菜ばかりだった。
でも、欲しそうにするからサラダの蓋を開け、野菜ジュースのストローも差して渡せば、使い捨てのフォークを使うことなく、サラダを手で掴み口に入れた。
「 ツナ…… 」
「 まぁ、分かってたけど妃翠って幼いよな。多分、知能は3歳以下。戦闘はそれ以上だけど 」
「 でも、教えたら覚えるんじゃないか?ほら、フォークだぞー 」
七海さんがどこまで教えたか分からないけど、パンダと共にフォークの持ち方を教えれば、握り締め、それで食べようと努力し始めた。
手で食べる時より周りにこぼしたり跳んでいくけど、それでもフォークを使おうとする努力は認めたい。
「 ツナマヨ?( おいしい? )」
「 んまぁー!( うん!! )」
「 しゃけ( それは良かった )」
味付けのしてないサラダしか食べないけど、其れでも美味しいなら何よりだと頷いていれば、視線にハッとして真希達の方を見ればニヤニヤとされていた。
「 棘〜。すっかりお兄ちゃんだなぁ? 」
「 手は出すなよぉ?まだ小さいんだから 」
「 おかか!! 」
何を言い出すのかと驚いて、否定していれば二人のニヤニヤは止まらなかった。
確かに、妃翠は妹みたいに可愛いけど…。
まだ幼いし、特級呪霊だし、そういう風には見えない。
多分、今後も…俺がするのは世話だけだ。
「 んまぁー! 」
「 ツナマヨ( 可愛い… )」
「「( 棘の好きな具って…ツナマヨだよな。つまり…… )」」
可愛いのは認めるけど、けしてそんな気はないから!