第4章 恵と手合わせ
それもついさっき、高等部1年になったらしい。
いいタイミングで来たと思うが、狗巻先輩にかなり懐いてないか?
少し前にも会ったことあるみたいだが…。
「 恵〜、あれ見せてやれよ 」
「 いいな。妃翠は何も知らないから色々教えてやるといいみたいだぞ 」
「 嗚呼、わかりました 」
何も知らない?子供過ぎるわけでもないが、言動が幼いから、何かしらの事情はあったのだと思う。
まぁ、彼等が言わない為に聞きはしないが…。
禪院先輩が両手で作ったものを見て、納得すれば顔を向けたのに合わせて、犬の影絵を作り出し口にする。
「 玉犬。白、黒 」
2頭の玉犬を出せば、犬達に触れれば妃翠は少し怯えてる仕草をし、パンダ先輩の後ろへと隠れた。
パンダは平気で、玉犬は駄目なのか?
「 コイツ等はなにも…… 」
「 ヴゥゥゥ…… 」
「 ガゥゥゥ…… 」
人に唸ることが無い玉犬が、毛を逆立て歯を剥き出してる事に違和感を覚える。
今まで、禪院先輩や狗巻先輩に頼まれて出したことは何度もあるが、敵意をすることが無かった。
だが、彼等より幼い少女へと唸るのを見て、両手で襲わないよう止め、先輩方へと視線を向ける。
「 その子供…、人間じゃないんですね?玉犬が反応するのは呪霊のみなんですよ 」
俺の言葉に、パンダ先輩は頬を掻き、禪院先輩は溜め息を吐いた。
「 ちょっと複雑なんだけど。この子は特級呪物の蠱毒の本体らしく、呪霊になった後に七海さんに懐いて、ここで匿う事になったわけだ。受肉してるから人にも見えるしな 」
「 特級呪霊相当の物を匿う?それって規則に反してませんか 」
「 そうだけど、悟が言ったんだから私達は聞くしかねぇだろ。それに、妃翠は人に危害を食わねぇ呪霊なんだ。私等がこの目で見た 」
「 しゃけ 」
特級呪霊を匿い、上層部の連中が知れば如何思うだろうか。
いや、五条さんが居るのだから俺が言う事もないか。
玉犬達に唸らせるのを止めさせ、一つ息を吐く。
「 まぁ、玉犬が反応した理由も分かったんで…他は如何でもいいです。危害を食わない理由わかりませんが… 」
「 七海さんをママとも思ってるから 」
「 人間は友達、餌じゃないってやつだな 」
「 マジですか… 」
呪霊がそんな事ありえるのか?