第3章 金髪はママ説
「 マァマー! 」
「 流石に呪霊は手当する必要がない。勝手に呪力が回復して元に戻るからな 」
手当てさせようとしたが必要無かったらしく、思った以上に元気だった少女は、検査を否定して抱き着いてきた。
嫌々とばかりに背中へと回ってぶら下がったおんぶの状態へとなり、家入さんを見て首を振る。
犬や猫と同じく、本能的に動物病院は嫌うということだろう。
「 そうですか。なら、必要ないですね 」
「 貴方が許してくれるなら、解剖したい所だけど諦めてやるさ 」
「 当たり前でしょ。許しませんよ 」
殺す事は保留となったのに、解剖されたらたまったもんじゃない。
反転術式が何処まで効果あるかは知らないが、それでも下手に怪我をさせたくない。
「 けど、貴方みたいな堅物が呪霊を匿うなんて…父性でも湧いた?未婚なのにか? 」
「 如何だっていいでしょ。只、守られるばかりでは気に入らないだけです 」
「 まぁいい。面白そうだからな 」
連れて来たのが間違いと思うが、手当てをする必要がないと分かれば少しだけ安心した。
背中にぶら下がってる少女をそのままにし、この場所から出れば、少し休みたいと思う。
いや、休みたいのは私ではなく呪霊の方か。
〜 五条 視点 〜
あの呪霊…まるで憂太に取り憑いていたのとよく似ている。
お互いに守る為の呪いを掛けたのか、それとも呪霊の方が一方的に思ってるのか、まだ分からないが、あの様子からして、此方がどんなに攻撃しても、七海に攻撃が当たらない限り、本気で俺には攻撃してこないだろう。
「 本気で七海を殴ればよかったかなー?手加減してたんだよね…って、何その顔!? 」
「 幼女を痛ぶった変人め 」
「 流石にやり過ぎだよな。人間性を疑う 」
「 おかか… 」
「 えぇ、君達を守るためだよ!?安全か如何かの確認って必要でしょうが! 」
冷めた目を向けられるのも分からなくはない。
彼等にはよく似た同期が居るのだからな…。
けど、本気で軽蔑した目は痛いよ!?
「 まぁ、あれを見る限り、平気じゃねぇの?寧ろ、ちょっと七海さんが意外で面白いし 」
「 しゃけ 」
真希の言うように、あの七海はちょっと興味あるよね。
父性でも湧いたのかな?
ママって呼ばれてるみたいだから、母性かも知れないけどね。