第2章 Patience
巨大な枯れ木の前まで歩く。
丸々と太った枝や根は
蛸足の様に
しなやかに伸びている。
葉は一つも付けていない。
枝先が寒々しいが
代わりに、根元は
落ち葉の絨毯を纏っている。
黒々とした大樹を見上げていると、
聞き覚えのある女性の声が聞こえた。
*大変……予定より
随分時間が
掛かってしまったわ……。
慌ただしい足音が、近づく。
トリエルからは
丁度樹が死角を作っていて
PLAYERの姿を視認出来ない。
トリエルは枯れ木を背に、
携帯を耳に押し当てた。
PLAYERのポケットが、
唸りながら振動する。
着信音はトリエルの耳に
しっかり届いた。