第10章 変化
順平君と悠仁のもとから離れたあと、暗闇の空間に連れられたみたい。
呪霊がわんさかいて全部倒すだけでも時間が掛かる。
こんな大事なときに……
「やってやるよ…!!」
「術式 明鏡止水」
特訓中に覚えた術式。
自分が指定した範囲内、相手に向かって打てる術式。
あまり便利ではない。1日2回程度が有限。
相手の行動を止めて動かなくする。
止めている間は勿論体力も消耗する。多すぎるほどに。
「ケホッ……あーお腹痛い。」
呪霊を止めたは良いが、出口が見当たらない。
そこら辺の黒いところを殴ってると
パリン
と割れた。
帳?いや違う。呪力でできた空間かな……誰がこんな手間のかかることを……
急いで悠仁と順平君のところへ行かなくちゃ。
全速力で走って、やっと声のところに来たと思った。
助けられると思った。
「だから死ぬんだよ」
「順平君?ツギハギ?」
そこには形を変形されたばかりの順平君と悠仁とツギハギがいた。
「何で」
「あれ?もう出てきたの?さぁ、round2だ。でも君にはちょこっと寝てて貰わないとね」
ツギハギに胸板を触れられた。
「ア゙ア゙ア゙ア゙あっ…!!」
そこで私の意識は途切れた。
また、またなんだ。私の無力差を知った。
こんな状態でも判断が出来ないなんて。
呪霊を前にして動かないなんて。ありえない。
目が覚めるとナナミンの背中の上。
隣には穴だらけの悠仁。
手の形を変形させたツギハギがいた。
「ナナミン…悠仁!」
「おはようございます。如月さん。今は安静に、って」
私はナナミンの背中から飛び降りて悠仁に反転術式というのを試した
「ごめんなさいナナミン。私動けるので…ありがとうございました!
悠仁、治してみるからちょっと動かんでね。」
案外やってみるといけるもので、悠仁に空いていた血の穴は塞がった。
「はぁ…良かったー緊張した。」
「ありがとな結花。俺頑張ってくる!」
よかった。でも自分には使えないみたい。やっぱ硝子さんみたくはいかないか。
自分の体を見てみるとみぞおち辺りがえぐれていた。
あーあ。
でも不思議と体は軽かった。
「ナナミンご迷惑をお掛けしました。頑張ります。」
「へぇー?君そんなこと出来ちゃうんだ!ちゃんと殺したと思ったんだけどなぁ」