第5章 ※※初祓い
「うっ………」
耳から血が出てきた。鼓膜破れたかな。
凄い、周りの音が直接脳に入ってくるみたいで痛い。
でも今は恵君もいないし、迷惑もかけられない。私が頑張らなきゃ。
「 門前雀羅 」
私が術式を出すと、目の前の呪霊は紐に包まれ、男の子を離した。
「ねぇ君!大丈夫?怪我はない?」
「お姉さん………ありがとう」
やっぱ御礼を言われると気分が上がるな。
「お姉さん。君を守るために頑張るから。君は下の階にいる黒髪のお兄ちゃんのところで安静にしていてね」
私がそう言うと、男の子はお辞儀をして教室を出た。
その瞬間に紐が解かれてしまった。
油断した。
私は呪霊に片足を掴まれ、壁に投げられた
「カハッ………」
背中に激痛が走った。なんとか頭はぶつけなかったようだ。
私が立ち上がろうとすると男の子が寄ってきた。
『ねえ、お姉さん。俺彼奴らに復讐しようとしてたの。なんで逃がしたの。毎日毎日。蹴られ殴られ、物は捨てられ!!お姉さんには僕の苦痛が分かるわけないよね。痛いでしょ?今楽にしてあげるね。』
そう言えば、この子の顔や腕、足には幾つものバンドエイドやアザがある
私は男の子に平手打ちを食らわせられた。
「いった!!」
そのまま、小学生の力ではないような力で呪霊の元まで引きずられた。
「苦痛が分かるわけない………かあ。」
「………」
「大丈夫。君にはお母さんもお父さんもいる。……大丈夫だよ。君は一人じゃないよ、心を閉じないで………?」
『うるさい!!!!!お姉さんなんて死ねばいい!!』
男の子がそう怒鳴ると、私は呪霊に片足を持っていかれた