第2章 Destroy the castle of lust
目の前の敵を倒したは良いが、正直皆体力が限界だ。虚勢を張って竜司さんが変態男に吠えるが、相手はまだまだ余裕。満身創痍で鴨志田を見上げると、横からナイスバディな女性が歩いてきた。
「なっ、高巻⁉」
ボロボロになった私たちを煽るようにペラペラとまくし立てているが、その隣の女性も自分を飾るアクセサリーだと思っているのだろうか。
「恐らくですが…その女性はシャドウです」
「そうだろうな…囲まれる前に行くぞ!」
「何もしねえで逃げるのかよ⁉」
「死んだら終わりだ」
蓮さんの言葉に渋々竜司さんが頷いて、城からやっとの思いで抜け出した。
「なんだか、凄く疲れました…」
「そうだな…」
横を見ると、モルガナさんが竜司さんに認知世界とペルソナに付いてそれっぽく説明している。
「あなたは、なんとなくこの世界についてはご存知なんですか?」
「さっきの説明を聞いて、なんとなくは」
「そうですか」
「天音は、どうしてここへ?」
「用事があったので。でも解決したので、何か手伝えることがあれば手を貸しますよ」
「ああ、助かる」
ヒントは少しだけ撒いておこう。いずれ来る時が来れば、皆さんも分かるはずだから。
「おい、お前なら協力してくれるよな!」
「はい?」
「ワガハイのプランの一部なんだ!くせっ毛とアマネ!」
モルガナさんはどうやら私たちに手伝ってほしいことがあるらしいが、どうやら竜司さんにはフラれてしまったらしい。この流れだと蓮さんにもフラれたということだろう。
「あらあら…」
「すまないな」
「じゃーな!」
二人はせっせとパレスを出て行ってしまったみたいだ。残る人材も私だけ。
「良いですよ。どうせ渋谷に向かう予定でしたから」
「オマエ、なんで行き先が渋谷だってこと…」
「まずはここを出ましょうか」
促すようにパレスの外へ出た。警戒度が高まっている中で雑談するわけにはいかない。
「メメントス、ですよね」
「ああ」
「それ」については既に目を付けている。あれは私への手掛かりが眠っているはずの宝物庫なのだから。
「それにしても、モルガナさんの現実での姿ってとても可愛らしいのですね。バッグに入りますか?流石に歩いていくのは面倒でしょうから」
「ああ。丁重に扱ってくれよ」
「任せてください。それでは行きましょう」
黒猫をスクールバッグに入れて歩き出した。