第2章 Destroy the castle of lust
「別に自分で選んだわけじゃないですし…」
「目立つな、その色」
「それを言われると痛いです」
「おい、無駄話は後だ。早くここを出るぞ」
モルガナの声に従って道を抜ける。けど、出口に近付くにつれて嫌な予感が増してきた。あまりに周囲が静かすぎるからだ。見回りの兵士の歩く音や金属音で多少音が鳴るはずなのに。
「皆さん、待って…何かおかしい…」
「また貴様らか」
嫌な予感が的中した。この城の主が大広間で待ち構えていた。竜司さんが負けじと食い付く。どうやら昔なにか陸上部で何かがあったらしいが、まぁ恐らく原因は目の前の男のせいだろう。大体悪いやつは人に罪を擦り付ける。
「やれ」
指令をしたと思ったら奥へ引っ込んだ。自分が手を下す気はないらしい。
「くっ、囲まれた」
「状況は圧倒的に不利です…なんとか…」
一撃が重い。もうあと一回でも食らえばどうにかなってしまうだろう。そう思っていたところに一匹が突進してくる。あ、もうだめだ、と客観的に思うしかなかった。
「竜司、さん…」
兵士の足が重い。目を開けたら踏みつけられてるとなんとなくわかった。
「言われっぱなしか?」
蓮さんがそう問いかける。竜司さんが苦しそうに這いつくばっていた。ペルソナ使いは、反逆の意思を力に変える。竜司さんにも、反逆の意思がきっとあるはずだ。
「にやけたツラで、こっちみてんじゃねえよ!」
どうやらプッツンしてしまった様子。地雷を踏むということは即ち踏んでしまった人がどうなるか、もう分からない年でもないでしょうに。愚かな人。だからパレスなんてものができたのでしょうけど。
「ほんと、待たせちまったな。行くぜ!」
ペルソナに覚醒したことで、兵士たちが吹っ飛ばされた。その隙に脱出し、急いで竜司さんの元へ。
「援護します!皆さんはとにかく叩いて、斬って、撃ちまくって下さい!」
「任せろ!」
「頼みます」
竪琴を手に取って音楽を奏でた。混乱作用があるので、敵の動きが若干封じられるはずだ。
「このっ、問題児がぁ!」
相当おかんむりな様子。しかしその隙をついてどんどん三人がボコボコにしていく。弱点も良い感じに狙って、先程とは大違いの成果だ。
「これで、トドメだぁーっ!」
竜司さんが鉄パイプで最後の一撃をくれてやった。誉ある臣下とか宣って倒れていく姿が、今となっては最早滑稽。