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Black・Rose

第2章 Destroy the castle of lust


「行ってからのお楽しみ」
『分かりました。楽しみにしてますね』
「期待してていいよ」

相当自身がおありな様子。頑張って気になるお店とか調べたのだろうか。そう考えるとちょっと可愛らしく見えてくる。

『美味しかったですね』
「そうだね。お腹も一杯になったし」

かなりのボリュームだったこともあり、二人とも結構お腹一杯になったと思う。

「ちょっとお手洗いに行ってくるよ」
『はい』

すかさず財布を出して支払いを済ませてしまおうとレジへ。明智さんの荷物も持つのも忘れずに。

『マスター、すみません。お会計お願いします』
「おや、お嬢さん、良いのかい?」
『前回、奢ってもらったんです。だから今回はそのお礼も兼ねて私がお支払いしたくて』
「そうかい。なら遠慮はいらないね」

マスターがほっとしたような顔をして、私も安心してお会計した。

『明智さんに、私が外で待ってると伝えていただいてもよろしいですか?』
「ああ、構わないさ」

スクールバッグを肩にかけて、明智さんのアタッシュケースを持っているわけだけど、このケースが結構重い。中に何を入れているのか気になるところではあるが、他人の詮索はしないのが私のモットーだ。

「お待たせ」
『いえ。これ、明智さんのお荷物です。言っておきますが誓って開けてはいないですし、盗んでもいません。ここで確認していただいても大丈夫です』
「大丈夫だよ。そんなこと心配してないから」
『そ、そうですか…』

てっきり私のことを疑ってかかるものだと思っていたから意外だ。この場でケースを開けて調べるものかと思っていたのに。

「これから蒼山一丁目まで行くんでしょ?駅まで送るよ」
『いえ、そんな。悪いです』
「良いよ。どうせ午後の仕事がなくて暇になっちゃったから」
『分かりました。一緒に行きましょうか。明智さんはこのままお帰りになりますか?』
「うん。そうするつもり。それとも…」

明智さんがぐっと近付いて耳元で囁く。

「帰りも、一緒に帰ろうか?」
『け、結構です!』
「そう、残念」

残念に思っていなさそうで安心した。どうやら明智さんはこれが通常運転らしい。

「それじゃあ行こうか」
『はい』

駅までの短い時間だがどうやらまだ明智さんに付き合わねばならない。相手が警戒している以上、私も疑われないように振舞わないと。

「どうかしたの?」

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